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弁当の卵焼き

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飲んだくれ親父のせいで貧乏育ち。だから小さい頃は遠足の弁当が嫌いだった。
麦の混じったご飯に梅干しと佃煮。恥ずかしいから
「見て~!俺オッサン弁当!父ちゃんが『お前の方が旨そうだ』って取り変えるんだよ~!」
とクラス中でネタにして凌いでいた。貧乏に負けない為にはクラスのお調子者になるしかない。
そう思っていた気がする。

その賜物か、破れた服を着ていても自転車が無くてもそんなキャラクターなのだと、
からかわれる事も虐められる事もなかった。
むしろ一人っ子の同級生が服とか自転車くれたりして。本当は悲しかったけどね。

中学に入ると毎日弁当だったがもはや
「いや~毎回この弁当だとかえって親しみ湧いてさw」
と笑って食べていた。そう思うしか無かった。

母親はよく言っていたっけ。「いつもニコニコ笑っていなさい」って。
せっせとやりくりして給料日に作ってくれるコロッケとふわふわの甘い卵焼きが母ちゃんの味

そんな母には感謝しているが、今でも弁当だけがトラウマで、嫁さんと幼稚園児の坊主の弁当は
俺が作ってる。
もう毎夜仕込みが楽しいのなんのってw
三角おにぎりに、たこさんウィンナーに、ピカチュウの蒲鉾。
甘めに炒めた金平に、更に甘々の卵焼き。
可愛いピックまで付けてやる。全部あの頃“憧れた世界”だ。

嫁さんは「乙女かw」と笑い、息子は「あのね、父さんの卵焼き甘くて美味しいよ。」と喜んでくれる。
あの頃の俺みたいに。
今はもう心から笑える。毎日幸せです。

               

     

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